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育児・介護休業法改正と産後うつ

【2026年3月27日更新】

 

こんにちは。大野事務所の深田です。

 

前回のコラムの後半でも少し触れましたとおり、2021年63日に育児・介護休業法の改正法案が成立しています。改正事項の中で目玉ともいえるのが、育児休業の新たな仕組みとなる「出生時育児休業」の創設です。これは、子の出生後8週間以内において4週間以内の期間(合計28日まで)で、通常の育休とは別に取得することができる育休です。産後8週間で主に男性労働者の利用を想定していることから、「男性版産休」などと呼ばれたりもしているようです。

 

この出生時育休が創設された背景の一つとして、母親の産後うつ病があるとされています。産後うつ病とは「MSDマニュアル家庭版」によれば、分娩後の数週間、ときに数か月後まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態をいい、約1015%の女性に発症するとのことです。また、「人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状」(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 2018年)によれば、201511日から20161231日までの女性死亡例のうち、妊娠中および産後1年未満に死亡した357例では、死因の最多が自殺(102例)であり、うち産後1年未満の自殺が92例とのことです。こうしたことから、とりわけ出産直後の時期における父親のサポートが非常に重要であると考えられています。

 

さて、現行の育児・介護休業法ではいわゆる「パパ休暇」として、子の出生後8週間以内の期間に取得した育休は1回の育休としてカウントしない(それとは別にもう一度育休を取得することができる)とする仕組みがありますが、通常の育休が2回まで分割取得できるよう改正されることに伴い、パパ休暇に係る条文は削除されます。パパ休暇は「1か月前まで」の休業申出が必要であるところ、出生時育休は「2週間前まで」とパパ休暇よりも申出期限が緩やかになるわけですが、パパ休暇であれば出生後8週間丸々休業することもできるのに対して出生時育休は最大で28日間ですので、子の出生後の期間において従来よりも休業できる日数が少なくなるようにも見受けられます。この点につきましては、もし子の出生後8週間の期間に28日超の休業を取得したいということであれば、出生時育休ではなく通常の育休を取得すれば良いということになります。パパ休暇の場合は休業期間が出生後8週間以内であることを条件に1回の育休としてカウントしない扱いとなっていますが、育休を2回まで分割取得できるようになることで、例えば出生後10週間の育休を取得し、それとは別に子が1歳に達するまでの間でもう一度育休を取得するといったことも可能となります。なお、出生時育休も2回までの分割取得が可能ですが、分割取得しようとする場合には分割取得分も含めて最初にまとめて申し出をしなければなりません。その他、出生時育休では労使協定を締結している場合に、労働者が合意した範囲で休業中に就労することが可能であることも特長です。

 

執筆者:深田

深田 俊彦

深田 俊彦 特定社会保険労務士

労務相談室長 管理事業部長/パートナー社員

社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。

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