衛生委員会は最低何名必要か⁉
パートナー社員の野田です。監督署調査において、衛生委員会における産業医などの構成員(委員)が不足しているといった指摘をされることがありますが、構成員の人数が不足しているという指摘を受けた記憶がありません。労務相談においては、構成員が何人必要なのかといったご質問をお受けすることがありますので、衛生委員会の構成員について確認します。
まず、労働安全衛生法(以下「安衛法」という)では以下のように規定されております。
労働安全衛生法第18条抜粋(衛生委員会)
2 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
- 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
- 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
- 産業医のうちから事業者が指名した者
- 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。
4 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
第3項によれば、①(統括管理者等)が議長となります。また第2項によると、②(衛生管理者)、③(産業医)、および④(衛生管理の経験のある労働者)がそれぞれ1名以上必要となりますので、議長を含め最低でも4名必要です。
更に第4項では、①の議長を除く委員(②~④)の半数については、労働組合等の推薦に基づき事業者が指名しなければならないとしているわけですが、企業様のお話を伺っていると、この点について誤解されていることが多いようです。
その誤解の内容とは、①の議長を除く委員(②~④)の半数については、事業者指名者とは別に労働組合等が推薦した者(労働者推薦者)でなければならないといったものです。具体的には、事業者指名者を3名(②~④各1名)とした場合、それと同数の労働者推薦者3名が必要であるという誤解から、議長を含め最低7名必要であるといったものですが、法は事業者指名者と労働者推薦者が別人であることまで求めていませんので、例えば②~④を労働組合等の推薦に基づく事業者指名者とするのであれば、議長を含め最低4名で衛生委員会を構成することが可能であるといえます。
安衛法では、委員会について「何人以上で構成すること」などと規定されておりませんが、法の要件を満たした者で構成のうえ、委員会を運営することが求められます。なお、安衛則第23条第2項では「委員会の運営について必要な事項は委員会が定める」と規定されていますので、「委員会は委員の過半数の出席をもって成立する」など、委員会の開催要件について取り決めをしておくことが重要です。
執筆者:野田
野田 好伸 特定社会保険労務士
代表社員
コンサルタントになりたいという漠然とした想いがありましたが、大学で法律を専攻していたこともあり、士業に興味を持ち始めました。学生時代のバイト先からご紹介頂いた縁で社労士事務所に就職し、今に至っています。
現在はアドバイザーとして活動しておりますが、法律や制度解説に留まるのではなく、自身の見解をしっかりと伝えられる相談役であることを心掛け、日々の業務に励んでおります。
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