TOP大野事務所コラム年度の途中で所定労働時間が変更された場合の時間単位年休の取扱いは?

年度の途中で所定労働時間が変更された場合の時間単位年休の取扱いは?

こんにちは、大野事務所の土岐です。

 

今回は時間単位の年次有給休暇(以下、時間単位年休)を導入している場合に、休暇年度の途中で所定労働時間が変更となった際の取扱いについて採り上げます。

 

1.時間単位年休とは

 

時間単位年休は就業規則への規定と、労使協定(※)の締結により、付与された年次有給休暇のうち年5日を上限として、時間単位で取得できるものです。この制度の目的は、子育てや介護、通院などの私的な用事に柔軟に対応できるようにすることで、労働者の多様な働き方を支援することにあります。

 

(※)(1)時間単位年休の対象者の範囲、(2)時間単位年休の日数、(3)時間単位年休1日分の時間数および(4)1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数を定める必要があります。

 

2.1日分の年次有給化を何時間とするか

 

協定に定める「時間単位年休1日分の時間数」については、通達(平成21529日基発0529001号)において「1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかについては、当該労働者の所定労働時間数を基に定めることとなる」、「1日の所定労働時間数を下回らないもの(略)…1時間に満たない時間数については、時間単位に切り上げる必要がある」と示されている通り、1日の所定労働時間を基に、これを下回らず1時間未満の時間数を切り上げる形で定めることになります。

 

なお、日や季節ごとといったように1日の所定労働時間数が異なる場合に関しては、同通達において「日によって所定労働時間数が異なる場合には1年間における1日平均所定労働時間数となり、1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となるものであること。」と示されています。

例えば1か月単位の変形労働時間制を採用している場合、最初の1か月しか所定労働時間数がわからない場面が想定されますが、この最初の1か月の1日平均所定労働時間数となる、というわけです。

 

協定の定めに関しては次のような規定が考えられますが、所定労働時間が変更となった場合には、1日分の休暇に相当する時間数の換算に影響が生じる点に注意が必要です。

<協定例>

時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下のとおりとする。

①所定労働時間が5時間を超え6時間以下の者・・・6時間

②所定労働時間が6時間を超え7時間以下の者・・・7時間

③所定労働時間が7時間を超え8時間以下の者・・・8時間

 

3.所定労働時間変更時の具体的な取扱い

 

さて、所定労働時間に変更が生じた場合について、厚労省のリーフレットに掲載されているQ&Aでは次の通り示されています。

Q:1年の途中で所定労働時間が変更された場合、時間単位で取得できる時間数はどうなりますか。

A: 時間単位年休として取得できる範囲のうち、日単位で残っている部分については、1日が何時間に当たるかは変更後の所定労働時間によることとなります。日単位に満たず時間単位で保有している部分については、所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されることとなります。

例えば、所定労働時間が8時間から4時間に変更され、年休が3日と3時間残っている場合は、3日と3/8日残っていると考え、以下のとおりとなります。

【変更前】3日(1日あたりの時間数は8時間)と3時間

【変更後】3日(1日あたりの時間数は4時間)と2時間(比例して変更すると1.5時間となりますが、1時間未満の端数は切り上げます。

 

上記の協定例の前提で、契約変更等により所定労働時間が8時間から6時間に短縮された場合についてQ&Aにあてはめて考えてみましょう。

 

Q&Aの通り、時間単位年休として取得できる日数および時間数のうち、「日単位」についての残日数はそのままに、1日が何時間に当たるかは、変更後の所定労働時間により算定されることとなります。一方、「日単位に満たない時間単位」で残っている部分については、所定労働時間の変更に比例して換算されることとなります。 

(例):時間単位年休の残日数が2日、残時間数が5時間の場合

 

【変更前】 2日(1日あたりの時間数は8時間)と5時間

全て時間数換算すると…2日×8時間(1日あたりの時間数)+5時間 ⇒ 21時間

 

【変更後】 2日(1日あたりの時間数は6時間)と3.75時間(5時間×6/8)⇒ 4時間(端数切り上げ)

全て時間数換算すると…2日×6時間(1日あたりの時間数)+4時間 ⇒ 16時間

 

4.おわりに

 

いかがでしたでしょうか。

実務面を考慮しますと何とも煩雑な対応が求められることになりますが、整理としては以上の通りです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

<参考URL

  • 厚生労働省 年次有給休暇の時間単位付与

https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf

  • 厚生労働省 時間単位の年次有給休暇制度を導入しましょう!

https://www.mhlw.go.jp/content/000560872.pdf

 

執筆者:土岐

 

土岐 紀文

土岐 紀文 特定社会保険労務士

第3事業部 部長

23歳のときに地元千葉の社労士事務所にて社労士業務の基礎を学び、その後大野事務所に入所しまして10数年になります。

現在はアドバイザリー業務を軸に、手続きおよび給与計算業務にも従事しています。お客様のご相談には法令等の解釈を踏まえたうえで、お客様それぞれに合った適切な運用ができるようなアドバイスを常に心がけております。

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