TOP大野事務所コラム社会保険(健康保険、厚生年金保険)における報酬と賞与

社会保険(健康保険、厚生年金保険)における報酬と賞与

【2026年3月27日更新】

 

こんにちは。大野事務所の深田です。

 

早くも7月に入り、企業や社労士事務所の社会保険実務においては、算定基礎届のシーズンに突入していますね。やや個人的なことを記しますが、私は大野事務所入所前に勤めていた社労士事務所で社労士業務に初めて従事するようになり、それが2002年のことです。その事務所での私のメイン業務は、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の手続きでした。

 

社会保険手続き業務における年間の山場は、何と言っても算定基礎届です。その事務所に入った当時は、5月~7月までの3ヶ月間の報酬を810日までに届け出ることになっていました(翌2003年から現在の4月~6月での算定に変わりました。「総報酬制」が導入されたタイミングです)。

その頃は今と違って電子申請がないのはもちろんのこと、磁気媒体での届出もほとんど普及していませんでしたので、ドットプリンタを使って紙の算定基礎届にひたすら印字していきます(1枚につき被保険者5名)。そして、算定基礎届11枚に事業主印と社労士印を押印し、賃金台帳とともに紙袋に詰めて(←このあたり、個人情報保護の点で隔世の感がありますが)、社会保険事務所(現在の年金事務所)や健康保険組合に持ち込んでいました。

 

さて、算定や月変そして資格取得時の報酬決定など社会保険上の報酬を定める場面はいくつかありますが、それぞれ要件に沿って報酬月額を計算して届け出を行ううえでは、被保険者が月々で実際に受け取った(あるいは受け取ることとなる)報酬の実態を適正に反映させるのが趣旨だという点を意識すると、様々なルールも理解しやすいのではないでしょうか。

今年の算定・月変については、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を導入したことによる通勤手当の支給方法変更に係る月変要件該当有無の検証であったり、一時帰休が実施された場合の算定・月変であったり(71日時点で一時帰休の状態が解消しているか否かによって、低額な休業手当が支払われた月の報酬を含める・含めないが変わる。低額な休業手当が3か月継続して支払われた場合に月変の確認をする。など)、昨年までとはまた違った点に留意が必要となる企業も少なくないのではないかと思われます。

 

ところで、報酬月額の計算にあたっては、事業所から支給されている金銭が社会保険上の報酬に該当するのか否かということが前提としてあるわけです。この点に関しては、事業所に勤めているからこそ得られる金銭については恩恵的あるいは実費弁償的なものを除いて多くは報酬に該当し、支給が臨時的といった理由で報酬に当たらないケースは極めて限定的であるといえます。支給された金銭が社会保険の対象賃金に該当するか否かの判断がファーストステップ、そして次のステップとして当該金銭が「報酬」と「賞与」(3か月を超える期間ごとに支払われるもの)のいずれに当たるのかという判断を行うことになるわけです。

この判断において、ファーストステップの段階で対象から漏らしてしまいがちなのが一時金の類でして、例えば社長賞や資格取得祝い金といったものです。確かに純然たる労働の対価とはやや異なりますし、社会保険料を引かれてしまっては支給の意味合いが薄れてしまうといったご意見もお気持ち的には分からなくもないところではあります。しかしながら、「事業所に勤めているからこそ得られる金銭」ということからしますと、頻繁に支給されるものではないにしても大入袋のような今回限りの特別支給ということでもなければ社会保険の対象、そして一時金であることから賞与として賞与支払届を提出することとなります。ちなみに、2003年の総報酬制導入によって被保険者ごとの賞与額の届け出が必要となり、賞与に対する保険料が年金給付に反映されるようになりました。

 

マスクが欠かせない生活の中で初めて迎える夏となり、熱中症リスクも高まることでしょう。皆様、健康管理には十分に留意され、夏を乗り越えてまいりましょう。

 

執筆者:深田

深田 俊彦

深田 俊彦 特定社会保険労務士

労務相談室長 管理事業部長/パートナー社員

社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。

その他のコラム

過去のニュース

ニュースリリース

2026.05.01 大野事務所コラム
対話と議論の違い―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊻
2026.04.27 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【1か月単位の変形労働時間制の基本と運用上の留意点(前編:制度の概要と導入のポイント)】
2026.04.25 これまでの情報配信メール
治療と就業の両立支援指針について
2026.04.21 大野事務所コラム
月給制における賃金支払基礎日数
2026.04.15 これまでの情報配信メール
障害者の法定雇用率引上げ・国民年金第1号被保険者の育児期間に係る国民年金保険料免除制度・法人の役員の被保険者資格の取扱いについて
2026.04.11 大野事務所コラム
2026年度法改正の動向(その2)
2026.04.01 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【在宅勤務の労務管理について】
2026.04.01 大野事務所コラム
月給日給者の平均賃金額を考える
2026.03.26 これまでの情報配信メール
健康保険・厚生年金保険における現物給与価額の改正について・雇用保険料率、労災保険率について
2026.03.21 大野事務所コラム
労災裁決例から読む「叱責」と「パワハラ」の境界線
2026.03.19 ニュース
2026春季大野事務所定例セミナーを開催いたしました
2026.03.17 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【会社のSNS対策とモニタリング】
2026.03.15 これまでの情報配信メール
子ども・子育て支援金制度について・協会けんぽの健康保険料率および介護保険料率について
2026.03.11 大野事務所コラム
社会保険に遡及加入した場合の遡及分の社会保険料は当然に給与から控除できるのか?
2026.03.09 ニュース
令和8年度施行 労働関係・社会保険改正のチェックポイント
2026.03.01 大野事務所コラム
「ビジネスと人権」はこれからの企業活動の下地―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊺
2026.02.26 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【給与からの控除に関する基本的なルールと留意点】
2026.02.21 これまでの情報配信メール
働く女性の健康管理について
2026.02.21 大野事務所コラム
食事手当は割増賃金の計算基礎に含める
2026.02.11 これまでの情報配信メール
令和8年度の年金額改定について等・労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律
2026.02.11 大野事務所コラム
2026年度法改正の動向
2026.02.01 大野事務所コラム
フリーランス等へのハラスメント対策を考える
2026.01.21 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【定年後再雇用者の賃金】
2026.01.21 大野事務所コラム
新年のご挨拶とともに、精神障害と業務上疾病をめぐる裁決
2026.01.20 これまでの情報配信メール
令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査について
2026.01.11 大野事務所コラム
転勤時に36協定の特別条項の発動回数は通算かリセットか?
2026.01.01 大野事務所コラム
負の影響の防止・軽減から情報開示まで―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊹
2025.12.23 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【割増賃金の計算方法】
2025.12.21 大野事務所コラム
介護休業給付金を93日分受給したい
2025.12.19 ニュース
年末年始休業のお知らせ
2025.12.11 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【育児短時間勤務制度について】
2025.12.11 大野事務所コラム
マイナ保険証について
2025.12.08 これまでの情報配信メール
令和7年の年末調整について /育児休業等給付専用のコールセンターの開設について
2025.12.01 大野事務所コラム
社会保険「賞与に係る報酬」を考える
2025.11.28 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【副業・兼業に関する留意点(後編:健康管理の実施、副業・兼業に関わるその他の制度について)】
2025.11.25 これまでの情報配信メール
協会けんぽ 電子申請サービスについて / 来年度からの被扶養者認定について
2025.11.21 これまでの情報配信メール
 教育訓練休暇給付金のご案内 、 日・オーストリア社会保障協定が本年12月1日に発効します
2025.11.21 これまでの情報配信メール
令和7年 年末調整のしかたについて
2025.11.21 これまでの情報配信メール
令和6年度の監督指導結果について
2025.11.21 大野事務所コラム
業務上の疾病
HOME
事務所の特徴ABOUT US
業務内容BUSINESS
事務所紹介OFFICE
報酬基準PLAN
DOWNLOAD
CONTACT
pagetop