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労働者死傷病報告等の電子申請義務化について

こんにちは。大野事務所の高田です。

 

来年(2025年)1月1日から、労働者死傷病報告をはじめとする労働安全衛生法関係の幾つかの手続きにおいて、電子申請での届け出が義務化されます。電子申請が困難な場合は当面の間書面による手続きも可能とのことですが、将来的には全面的に電子申請へ移行していくものと見込まれます。

 

1.電子申請の対象となる手続き

 

電子申請の義務化対象となる手続きは、以下のとおりです。

 

① 労働者死傷病報告
② 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
③ 定期健康診断結果報告
④ 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
⑤ 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
⑥ 有機溶剤等健康診断結果報告
⑦ じん肺健康管理実施状況報告
⑧ 事業の附属寄宿舎内での災害報告

 

⑤~⑧に関しては、一部の企業以外にはあまり馴染みがないと思いますが、①はすべての企業にとって提出可能性のある手続きですし、②~④については、常時労働者が50人以上の事業場を擁する企業であれば、定期的に届け出が義務付けられている手続きになります。

 

2.帳票入力支援サービスをリリース

 

上記手続きの電子申請は、基本的にはe-Gov上で実施することになります。
e-Govについては以前から繰り返し申し上げていることですが、各申請書が非常に入力しづらいという問題がなかなか改善されません。今回、①~⑧のe-Gov上の申請書を実際に確認してみましたが、36協定届などと比較すれば、入力項目が少ない分煩わしさは多少軽減されるものの、フォントの大きさがバラバラだったり、入力箇所があっち行ったりこっち行ったりで、筆者にはとても使い勝手がよいとは感じられませんでした。

 

この点、おそらく行政側も認識しているのだと思います。今回の電子申請の義務化対象となる手続きを実施しやすくするために、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」(以下「帳票入力支援サービス」)なるものの利用を推奨しています。帳票入力支援サービスでは、ブラウザ上に各手続き様式の入力項目が縦長レイアウトで展開される形となっており、必要項目の入力が完了すると、帳票をPDF形式で出力したり、そのまま電子申請まで進めたりできるようです。入力データを途中保存しておくことも可能です。現時点では、上記①~⑧の手続きのうち、①~④、⑦の5手続きの電子申請がカバーされています。

 

3.帳票入力支援サービスはお勧めです

 

こちらの帳票入力支援サービスを少し試してみましたが、とても入力しやすいと感じました。画面レイアウトも見やすいですし、各項目の入力の仕方やルール等の説明も充実しています。これであれば、e-Govに直接入力するよりも、はるかにストレスなく手続きできるのではないかと思います。

 

ただし残念なのは、現時点では労働安全衛生法関係の一部(上記)手続きしか対応していないことです。サイトには「皆様のご要望を踏まえて作成できる帳票を拡大する予定です」と書かれていますので今後に期待しますが、特に労働基準法関係の各種協定届や就業規則届の方を、早く何とかして頂きたいと常々感じているところです。(そもそも、e-Govの申請書自体が改良されれば、このような帳票入力支援サービスに頼らずとも済むわけですが。)

 

4.電子申請義務化の影響

 

今回電子申請の義務化対象となった手続き(①~⑧)の中でも、特に①はすべての企業が対象になります(業務災害が生じた場合に限られますが)。これまでにも、社会保険や労働保険の一部の手続きの電子申請義務化が2020年4月から進められてきたところですが、こちらは資本金が1億円超などの特定の企業に限られていますので、すべての企業を対象としたものとしては今回が初めての取り組みかと思います。

 

今後も、厚生労働省管轄のものに限らず、行政手続きの電子化はますます促進されていくものと思います。いわゆる中小零細企業にとっては、対応するための設備や人の調達の両面において、自社で対応するのは難しい場合があるかもしれません。このような際には、弊所のような専門業者へ委託するのも選択肢の1つです。なお、労働社会保険諸法令に基づく手続きの代行は、社会保険労務士しか担うことができませんので、この点是非ともご注意ください。

 

○労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/index.html

 

執筆者:高田

高田 弘人

高田 弘人 特定社会保険労務士

パートナー社員

岐阜県出身。一橋大学経済学部卒業。
大野事務所に入所するまでの約10年間、民間企業の人事労務部門に勤務していました。そのときの経験を基に、企業の人事労務担当者の目線で物事を考えることを大切にしています。クライアントが何を望み、何をお求めになっているのかを常に考え、ご満足いただけるサービスをご提供できる社労士でありたいと思っています。

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