TOP大野事務所コラム月給日給者の平均賃金額を考える

月給日給者の平均賃金額を考える

代表社員の野田です。ご相談を受けるなかで平均賃金の計算方法について確認されることが多いので、今回は平均賃金について取り上げます。

社労士にとっては馴染みのある平均賃金ですが、月給日給者において欠勤控除が発生した場合の平均賃金額について正確に理解している方は少ないように感じます。というのも、欠勤控除が発生した場合の平均賃金額は「労災申請様式第8号(別紙1)」では算出できないからです。実務上は給与明細書や出勤簿を添付して申請しますので、記載内容に誤りがあったとしても監督署の方で修正のうえ平均賃金額を算出されているものと思われます。我々も最終的な平均賃金額がいくらになっているのか気にしていないといった実情ではありますが、正しい計算方法について確認します。

 

  • ●欠勤控除がある場合の計算方法

月給日給制とは、月給を基本としつつ欠勤、遅刻、早退などの不就労がある場合には、その分の賃金を減額して支給する給与形態であり多くの企業で導入しています。月給日給制において、平均賃金計算期間の3か月間に欠勤等による控除がある場合の算定方法に関する通達(昭和30524日 基収1619号)というものが出ていますので、ご確認ください。

 

【いわゆる月給日給制の場合の平均賃金の算定(昭和30年5月24日 基収1619号 抜粋)】

賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定の期間中の欠勤日数若しくは欠勤時間数に応じて減額された場合の平均賃金(算定期間が4週間に満たないものを除く。)が左の各号の一によってそれぞれ計算した金額の合計額に満たない場合には、これを昭和24年労働省告示第5号第2条に該当するものとし、自今、かかる場合については、同条の規定に基き都道府県労働基準局長が左の各号の一によってそれぞれ計算した金額の合計を以ってその平均賃金とする。

 

①賃金の一部が、労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間中に労働した日数で 除した金額の100分の60

 

  • ②賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定の期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額された場合においては、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の100分の60

 

  • ③賃金の一部が月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額されなかった場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額

 

  • 上記の通りですが、分かり難いので具体的な数字で見てみます。まずは、以下の「平均賃金算定内訳」をご確認ください。

 

 

このケースでは、4月と5月の基本給が欠勤により減額されていますが、当該内訳では原則的な平均賃金額(6,41087銭)と最低保障額(6,46618銭)しか算出できず、先の通達(基収1619号)による合計額は算出できません。通達のとおり①~③号の合計額を算出した場合、以下となります。

 

  •  ① 82,700円(残業手当+在宅手当)÷52日(実労働日数)×695423
  •  ② 200,000円(基本給)×3÷71日(所定労働日数)×65,07042
  •  ③ 67,500(通勤手当+家族手当)÷92日(総日数)=73369

 合計(①+②+③) 6,75834

 

この通り合計額は6,75834銭となり、平均賃金算定内訳による最低保障額(6,46618銭)を上回ることから、当該合計額が平均賃金額となります。

 

  • ●おわりに

当該通達が適用され上記例のような平均賃金額になっていたとしても、社労士や企業が知る由もなく、最低保障額が適用されているものと思っていたり、また特別な計算方法で算出されているのだろうと思っていたりするものの最終的な金額について確認しているケースは少ないのではないでしょうか。ということで、これを機に計算方法について認識して頂ければ幸いです。

 

執筆者:野田

野田 好伸

野田 好伸 特定社会保険労務士

代表社員

コンサルタントになりたいという漠然とした想いがありましたが、大学で法律を専攻していたこともあり、士業に興味を持ち始めました。学生時代のバイト先からご紹介頂いた縁で社労士事務所に就職し、今に至っています。
現在はアドバイザーとして活動しておりますが、法律や制度解説に留まるのではなく、自身の見解をしっかりと伝えられる相談役であることを心掛け、日々の業務に励んでおります。

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