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男女間の賃金差異の開示義務化

こんにちは。大野事務所の深田です。

 

労働関係の法令では従業員数規模に応じて義務を線引きしている事項があるということについて、「従業員数規模による労務対応の再チェック」と題して昨年(2021年)62日のコラムで取り上げました。

 

その後も労務診断などを通じて、1049人の事業場における衛生推進者未選任、201人以上の事業場における衛生管理者の法定人数未達などを目にするところです。

 

本年4月から対応を要することとなった事項としては、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届出および情報公表の義務が、常用雇用労働者数101人以上300人以下の企業にまで拡大したということがあります。

【参考】厚生労働省リーフレット

000862422.pdf (mhlw.go.jp)

 

また、今後新たに対応を要することとなる事項としては、以下のものが挙げられます。

 

<社会保険の適用拡大(202210月~)>

被保険者数101人以上500人以下の事業所について、一定の要件に基づき短時間労働者に対して社会保険を適用する。

 

<月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率の適用猶予措置廃止(20234月~)>

60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を、中小企業においても50%以上とする。

 

<育児休業取得状況の公表(20234月~)>

常用雇用労働者数1,000人超の事業主は、雇用する労働者の育児休業等の取得の状況を年1回公表しなければならないこととする。

 

さて、先ほど触れた女性活躍推進法については、ここに来て急な展開を見せた新たな動きがあります。去る67日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、「人への投資と分配」という項目の中に「男女間の賃金差異の開示義務化」が掲げられており、女性活躍推進法(一般事業主行動計画等に関する省令)に基づいて以下のとおり開示の義務化を行うということが打ち出されています。

・情報開示は、連結ベースではなく、企業単体ごとに求める。ホールディングス(持株会社)も、当該企業について開示を行う。

・男女の賃金の差異は、全労働者について、絶対額ではなく、男性の賃金に対する女性の賃金の割合で開示を求めることとする。加えて、同様の割合を正規・非正規雇用に分けて、開示を求める。

(注)現在の開示項目として、女性労働者の割合等について、企業の判断で、更に細かい雇用管理区分(正規雇用を更に正社員と勤務地限定社員に分ける等)で開示している場合があるが、男女の賃金の割合について、当該区分についても開示することは当然、可能とする。

・男女の賃金の差異の開示に際し、説明を追記したい企業のために、説明欄を設ける。

・対象事業主は、常時雇用する労働者301人以上の事業主とする。101人~300人の事業主については、その施行後の状況等を踏まえ、検討を行う。

・金融商品取引法に基づく有価証券報告書の記載事項にも、女性活躍推進法に基づく開示の記載と同様のものを開示するよう求める。

・本年夏に、制度(省令)改正を実施し、施行する。初回の開示は、他の情報開示項目とあわせて、本年7月の施行後に締まる事業年度の実績を開示する。

 

これを受けて、先週7月8日に女性活躍推進法の省令および告示が改正・施行されました。公表は、事業年度の開始後おおむね3か月以内に、前事業年度分の実績について行うこととなります。今回の動きの始まりは今年4月のようであり、それが7月8日に施行ということで、対象が常用雇用労働者数301人以上の企業に限定されていて初回の開示は7月8日後に締まる事業年度の実績を開示するという扱いにはなっているものの(3月決算の企業が多いということを想定しての配慮だといえますが、7月以降秋口に決算を迎えるような企業であれば、時間的猶予がさほどないので注意が必要です)、そのスピード感にはいささか驚きました。

【参考】厚生労働省リーフレット(女性の活躍に関する「情報公表」が変わります)

000961793.pdf (mhlw.go.jp)

 

近時の動向を受けて、実務担当者としては以前にも増して対応すべき事項を整理していかなければならないわけですが、この度の「人への投資と分配」という観点によって企業に求めようとしている内容からも、労働を取り巻く環境の更なる変化を感じたところです。

 

執筆者:深田

深田 俊彦

深田 俊彦 特定社会保険労務士

労務相談室長 管理事業部長/執行役員

社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。

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