2026年度法改正の動向(その2)
こんにちは。大野事務所の深田です。
前回のコラムでは、2026年度から施行される労働・社会保険関係法令の改正内容を概観しました。3月12日には2026年度の雇用保険料率が正式に決定したことから、新年度に行う実務対応の一つとして、給与計算における料率改定の設定が必要となります。その他、健康保険組合ごとの料率改定への対応に加え、健康保険法の改正に伴う子ども・子育て支援金の徴収開始もその後に控えています。
法令に基づいて給与からの控除を新たに実施するケースは、2000年に徴収が始まった介護保険料以来となるわけですが、介護保険料の場合は40歳以上の被保険者が対象ですので、子ども・子育て支援金のように全被保険者を対象とした制度が始まることは、相応にインパクトのある話だといえます。給与計算における新たな設定はもちろんのこと、徴収開始となることの社内周知も確実に行っておく必要があるでしょう。また、就業規則等で給与からの控除項目として健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料などを列挙している場合、子ども・子育て支援金は健康保険料に含まれるとの見方をする余地もあるとは思いますが、追記しておいた方が望ましいのではないでしょうか。
なお、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て拠出金は、そのまま存続します。こちらは、厚生年金保険料と併せて徴収されるもので負担するのは事業主のみですが、2026年度の拠出金率は2025年度と同率の1,000分の3.6に据え置かれる予定のようです。
法改正ということでは、2025年1月に労働基準関係法制研究会による報告書が公表されたことを、私のコラムでも以前に取り上げました。同報告書が公表されたことで、「労働基準法が改正されます!」という話がネット上でも昨年は随分と持ち上がっていたようですが、法改正に向けた議論の場である労働政策審議会(労働条件分科会)の開催は、昨年12月24日を最後にしばらく途絶えていました。「働き方改革の「総点検」について」を議題とした審議会が開催されたのが先月13日のことですので、実に3か月近くの間隔が空くこととなり、今国会での改正法案提出は見送られたといえそうです。昨年10月の新内閣発足が少なからず影響しているのだとは思いますが、改正に向けた動きが完全になくなったわけではなく、改めて動向を注視していきたいと思います。
さて、前回のコラム以降の新たな動きとして、産業医に関する報告についての改正(労働安全衛生規則の改正)が予定されています。産業医については、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに選任が義務づけられており、産業医を選任したときは、遅滞なく産業医の氏名や解任等された前任者の氏名等を所轄労働基準監督署長に報告しなければならないとされています。一方で、産業医の解任時には報告義務が課されておらず、今回の改正案では、産業医の解任等があった場合に、当該解任等した産業医の氏名および解任等の年月日等を遅滞なく報告することを義務づけようとするものです(ただし、産業医の選任報告に際して解任等の報告を行った場合は不要)。先月16日開催の労働政策審議会安全衛生分科会で改正省令案要綱が提示され、「妥当」との答申がなされています。施行日は、本年8月1日の予定です。
執筆者:深田
深田 俊彦 特定社会保険労務士
労務相談室長 管理事業部長/パートナー社員
社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。
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