TOP大野事務所コラム外国企業の日本支店代表者の労働保険等の取り扱い

外国企業の日本支店代表者の労働保険等の取り扱い

パートナー社員の野田です。

少々マイナーな話となりますが、今回は外資系企業の日本支店における代表者の労働保険等の取り扱いについて触れます。

 

外資系企業においては、日本法人を設立する場合と法人を設立せずに支店登記をする場合がありますが、後者の支店を設立した場合の日本支店の代表者が労働保険(労災保険、雇用保険)において、どのような取り扱いになるのでしょうか。感覚的には、日本法人の代表者同様、労災保険・雇用保険ともに対象外になるものと思われますが、その根拠はどこにあるのか、また代表者が複数存在する場合はどうなのか、といった疑問も生じますので、以下に整理します。

 

まず、会社法では支店代表者について以下のように規定しています。

 

【会社法第817条(外国会社の日本における代表者)】

(1)外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。

(2)外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

(3)前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(4)外国会社は、その日本における代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

 

普段あまり目にすることのない会社法の条文ですが、本条第2号で「外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」と規定されていることから、当該権限を持ち合わせている者(少なくとも1名)については、通常の法人における代表取締役と同義であり、労災保険・雇用保険の対象外になるとのことです。なお、代表者が複数存在する場合はどう考えるべきか職安に確認したところ、2名以上の取り扱いについては、各企業における位置づけ(当該権限を持ち合わせているか否か)によるとのことです。

 

私の担当先にも日本支店となっている企業様がありますが、お話を伺ってみると、代表者が雇用契約であるのか委任契約であるのかといった明確な区別なく、その地位についていらっしゃるような印象を受ける場合があります。実際、代表者の座を降りた後に雇用身分で契約を継続されることがあるようなので、労災保険の適用対象外や雇用保険加入期間の中断という点で後々揉めることのないよう、事前に確認しておきたいものです。簡単ではありますが、以上となります。

 

執筆者:野田

野田 好伸

野田 好伸 特定社会保険労務士

パートナー社員

コンサルタントになりたいという漠然とした想いがありましたが、大学で法律を専攻していたこともあり、士業に興味を持ち始めました。学生時代のバイト先からご紹介頂いた縁で社労士事務所に就職し、今に至っています。
現在はアドバイザーとして活動しておりますが、法律や制度解説に留まるのではなく、自身の見解をしっかりと伝えられる相談役であることを心掛け、日々の業務に励んでおります。

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