協調はリスペクトから始まる―「人と人との関係性」から人事労務を考える㉒
こんにちは。大野事務所の今泉です。
皆既月食+天王星食、ご覧になりましたか。ちょうどこれを書いている日は、この400何年ぶりの天体ショーの話題で持ちきりでした。
さて、前回、前々回と少々脇道に逸れた話題でしたが、今回はまたコンフリクト・マネジメントのことに戻し、残された協調モードについて触れたいと思います。少々おさらいします。人が対立したときに取りうる態度について、一般的・抽象的にカテゴライズすると、以下のようなモードがあるといわれていました。
① 強制
② 服従
③ 回避
④ 妥協
⑤ 協調
そして、これらの位置づけは下表のように位置づけられるものでした。
【二重関心モデル】
それぞれの定義づけは第19回を見ていただければ、と思いますが、協調モードは、自分の意見・利害への配慮、他人の意見・利害への配慮ともに重視する、というパターンであり、双方が「Win-Win」を目指すものとなります。コンフリクトが複雑化しているときや、よりよいソリューションを獲得したいため様々なアイデアをまとめ上げたいときなどに有効とされます。イメージとしてはこんな感じでしょうか。
一方、協調できるためには時間がかかることも想定されますので、即断即決を求められるときには向かないモードといえるでしょう。「協調」が全ての場面で取り得るオールマイティーな対応というわけではなく、関係性に応じて優先させるべきモードがあって、状況に応じてこれを使い分けることが大切、ということは以前お伝えしたと思います。
とはいえ、「Win-Win」を目指す姿勢は大事ですし、魅力的でもあります。そこで、協調的アプローチをとるための前提について、ですが、以下のような価値観が提唱されています。
つまり、相手と自分の判断基準や解釈が異なることを前提として、お互いの立脚点を理解し合うことから始め、共通認識を作り上げていく。いわゆるリスペクトですね。一方で、自分の判断が常に正しいと思い込み、相手の解釈や判断を認めない、という態度は最も危険なものといえるでしょう。実はこのことは、本コラムの第1回からお伝えしてきたことでもあります。
相手をリスペクトし、よりよいソリューションを築き上げる建設的な対話ができれば、「Win-Win」はもうすぐそこにある、といえるでしょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
今泉 叔徳 特定社会保険労務士
渋谷第1事業部 事業部長/ パートナー社員
群馬県桐生市出身。東京都立大学法学部法律学科卒業。
人事労務関係の課題解決の糸口としてコミュニケーションや対話の充実があるのではないかと考え、これにまつわるテーマでコラムを書いてみようと思い立ちました。日頃の業務とはちょっと異なる分野の内容ですので、ぎこちない表現となってしまっていたりすることはご了承ください。
休日には地元の少年サッカーチームでコーチ(ボランティア)をやっていて、こども達との「コミュニケーション」を通じて、リフレッシュを図っています。
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