TOP大野事務所コラムシリーズ 経営労務とコンプライアンス(第11回)

シリーズ 経営労務とコンプライアンス(第11回)

本コラムは、当事務所の代表社員である大野が、2012年に労働新聞に連載寄稿した記事をベースに同社の了解を得て転載するものです。なお、今回の転載にあたり、必要に応じ適宜原文の加筆・修正を行っております。

 

〇内部統制

内部統制システムの主要な要素を掲げる。

 

1.権限委譲と権限規程

権限委譲とその規定化は、組織の拡大と成長に合わせて序々に進めて行く必要がある。これを社内にわかりやすく示すのが「職務権限規程」である。案件に応じて、この金額までだったら部長決裁、それ以下のこの金額までだったら課長決裁、というのを社内に周知させ統一的な判断をするために必要な規程である。

 

2.権限委譲と不正防止

権限を委譲すると、当然留意すべき問題が生じる。不正行為である。決裁権を与えるということは、権限行使の裁量、権力を持つということである。権力を持つということは、そこに必ず不正の温床があるということでもある。権限行使に伴う不正については、組織のためのみならず、権限を行使する従業員のためにも十分に考える必要がある。組織運営の安定を維持するにはチェック・アンド・バランス機能を組込むことが不可欠なのである。この仕組みがあってこそ権限の委譲とその行使の正当性を確保できるのであり、組織化のキーの一つである。

 

3.業務の役割分担と業務分掌規程

会社が小さいうちは、仕事の区分も明瞭でなく部課長などの管理職も少なく兼務も多い。しかし、企業の成長につれ、業務の横展開が必要となり部門数も増え、仕事の区分も必要になる。これを文書化して業務範囲を限定し、組織の役割を明確にするのが「業務分掌規程」である。この各分掌業務に権限を付与して組織は動く。したがって、職務権限規程と業務分掌規程が組織経営の基礎になる。

 

4.内部統制にスーパーマンは要らない

成長著しい会社では、仕事は出来る人に集中する傾向があり、社内での発言力も大きくなる。順当に回っているときには、周りの期待もあって自然と範囲を超え、権限を超えた仕事をしがちである。枠組みを超えることは創造と革新には必要であるが、それは不正防止という観点からすると、目配りをしなければならないのであって、越境の許容範囲を画するバランスが要諦となる。

実際の不祥事事件でも「あの社員に任せたきり」にしていたというのが多い。本来、内部統制では組織を無視したスーパーマンは許容できない。職務権限と業務分掌の二つの規程のマトリクスを作り、そのマトリクス内に権限・職務範囲を限定化させ、部下がその権限を越える場合には、上位権限者は自己の権限と責任内でコントロールしなければならないのである。これは内部統制上の不正防止の本質的側面でもある。

 

5.内部統制のふたつの基本的役割と企業体質強化

 内部統制は会社の方針を明文化し社員に周知徹底することで、経営者と同じ視点、判断基準を持った従業員が増えることでもある。従業員管理の手法が内部統制だと言っても過言ではない。また、仕組みを整備することで、機会利益の獲得や機会損失の回避といった企業収益に貢献することにもなる。実はこの会社方針を周知徹底するという役割と不正を防止する(リスクを回避する)というふたつの基本的役割を通じて、持続的な成長を目指す収益への貢献、体質の強化の鍵ともなり得るのである。

 

以上

 

※次回(第12回)掲載日は、97日を予定しております。

 

シリーズ

シリーズ  

 

本コラムは、当事務所の代表社員である大野が、2012年に労働新聞に連載寄稿した記事をベースに、同社の了解を得て転載したものです。

ガバナンスと内部統制およびコンプライアンスの意味と位置づけを確認し、会社の成長、価値の向上に貢献する「経営労務」について、15回にわたり本コラムにて連載させていただきました。

なお、今回の転載にあたり、必要に応じ適宜原文の加筆・修正を行っております。

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