ニュース&コラムニュース&コラム

TOP大野事務所コラム専属産業医の「専属」とは

専属産業医の「専属」とは

【2026年3月27日更新】

 

こんにちは。大野事務所の深田です。

 

今回は産業医の選任について触れたいと思います。2019年4月に施行された改正労働安全衛生法により、産業医の独立性・中立性の強化、権限強化、連携強化などが定められ、企業の安全衛生管理体制を確立する上で産業医との関係性がますます重要となったところです。

 

産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任を要することとなるわけですが、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場または特定業務(有害な業務)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、「その事業場に専属の者を選任すること」(労働安全衛生規則第13条第1項第3号)とされています。

 

さて、この「専属」ですが、実は「専属」の定義を示した通達等はないのです。ただ、「専ら属する」という言葉からは、複数の事業場を掛け持ちしても良いということにはならなさそうです。この点に関連するものとして、「専属産業医が他の事業場の非専属の産業医を兼務することについて」(基発第214号 平成9年3月31日)という通達があります。この通達では、「特に、構内下請事業場等においては、労働態様の類似性等を勘案すると、元請事業場の指導援助の下に産業保健活動を行うことが効率的又は効果的な場合もある。」とした上で、元請事業場等に選任されている専属の産業医が当該元請事業場の下請事業場等の産業医を兼務することを一定の要件下で認めています。このように専属産業医が他の事業場の非専属産業医を兼務することは、元請と下請との関係を前提とした上で一定の要件に該当する場合に限り認められる極めて例外的なものであり、基本的には言葉どおり一つの事業場に属していることを要するといえます。

 

では、一つの事業場に属するとして、その産業医には常駐してもらわないといけないのでしょうか。この点も特に示されたものはなく、専属としか言っていない以上は、例えば週5日いてもらうことであったり雇用契約であったりということが絶対条件というわけではないと考えられます。この点、某労働基準監督官から以前に伺ったご見解を参考までに紹介します。

 

「フルタイム勤務の直接雇用であればもちろん疑義も生じないであろうが、反対に週3日だったら4日だったらといった場合のはっきりとした線引きはなく、業務委託契約でも構わない。あとは解釈の問題になるであろうが、週1~2日程度の場合にグレーと見るか黒と見るかは見解の分かれるところと思われ、個人的には指導対象とまでは言えないと考える。」

 

なお、安全委員会や衛生委員会の議長は、「総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者」とされていますが、総括安全衛生管理者以外の者が議長となる場合の「当該事業場において・・・統括管理するもの」の意味合いとしては、当該事業場に属する者であることがもちろん望ましいものの、事業の実施を把握できるのであれば同一企業の別事業場に属する者であっても可と解されています。

 

執筆者:深田

深田 俊彦

深田 俊彦 特定社会保険労務士

労務相談室長 管理事業部長/パートナー社員

社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。

その他のコラム

過去のニュース

ニュースリリース

2026.09.21 大野事務所コラム
熱中症はどこから労災になる?
2026.09.16 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【カスタマーハラスメントを原因とする労災】
2026.09.12 ニュース
働き方・休み方改革取組事例について、定期健康診断等の診断項目の一部変更について
2026.09.11 大野事務所コラム
定年後の65歳までの継続雇用と雇止め
2026.09.01 大野事務所コラム
「大丈夫です。」は本当に大丈夫か?―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊽
2026.08.26 これまでの情報配信メール
令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について・熱中症対策事例について
2026.08.21 大野事務所コラム
年末年始手当は賞与?
2026.08.12 これまでの情報配信メール
基本手当日額および高年齢雇用継続給付金等の支給限度額変更、育児休業給付の申請手続きの見直し、産業医の辞任等に関する報告の義務化について
2026.08.11 大野事務所コラム
熱中症対策を改めて確認しましょう
2026.08.01 大野事務所コラム
賃金未払いに伴う遅延利息(遅延損害金)を考える
2026.07.28 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【労災保険の基礎知識―業務災害と通勤災害について(前編:業務災害)】
2026.07.28 これまでの情報配信メール
カスハラ対策および求職者等セクハラ対策の義務化について
2026.07.21 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【採用面接時に応募者の健康状態を確認しても問題はないか】
2026.07.21 大野事務所コラム
飲み会での事故は労災になるのか ~裁決例から見る「業務性」の判断~
2026.07.11 大野事務所コラム
業務災害による休業の最初の3日間に所定休日が含まれる場合の労基法上の休業補償の考え方は?
2026.07.10 これまでの情報配信メール
労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます
2026.07.01 ニュース
「ビジネスと人権」セミナー開催のご案内【2026年7月29日(水)】
2026.07.01 ニュース
当事務所スタッフが労務行政主催セミナーに登壇いたします【2026年7月29日(水)】
2026.07.01 大野事務所コラム
学ぶことを棄てる⁉ ―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊼
2026.06.30 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【健康診断について】
2026.06.26 これまでの情報配信メール
令和8年度の算定基礎届の提出について、熱中症の予防対策について
2026.06.21 大野事務所コラム
退職給付金って何?
2026.06.12 これまでの情報配信メール
同一労働同一賃金に関する施行規則と告示の改正、 特定在留カード等交付申請について
2026.06.11 大野事務所コラム
同一労働同一賃金関連の法改正動向
2026.06.01 大野事務所コラム
懲戒処分における併科と二重処罰を考える
2026.05.29 これまでの情報配信メール
社会保険適用拡大特設サイトリニューアル・保険料調整制度のご案内(令和8年10月施行)
2026.05.28 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【1か月単位の変形労働時間制の基本と運用上の留意点(後編:運用上の留意点)】
2026.05.21 大野事務所コラム
労災裁決例から読む~出来事は単体で評価されていない~
2026.05.15 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【私傷病休職の発令】
2026.05.14 これまでの情報配信メール
労働保険年度更新に係るお知らせ・通勤手当等の非課税限度額の改正について
2026.05.11 大野事務所コラム
【令和8年度地方労働行政運営方針】
2026.05.01 大野事務所コラム
対話と議論の違い―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊻
2026.04.27 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【1か月単位の変形労働時間制の基本と運用上の留意点(前編:制度の概要と導入のポイント)】
2026.04.25 これまでの情報配信メール
治療と就業の両立支援指針について
2026.04.21 大野事務所コラム
月給制における賃金支払基礎日数
2026.04.15 これまでの情報配信メール
障害者の法定雇用率引上げ・国民年金第1号被保険者の育児期間に係る国民年金保険料免除制度・法人の役員の被保険者資格の取扱いについて
2026.04.11 大野事務所コラム
2026年度法改正の動向(その2)
2026.04.01 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【在宅勤務の労務管理について】
2026.04.01 大野事務所コラム
月給日給者の平均賃金額を考える
2026.03.26 これまでの情報配信メール
健康保険・厚生年金保険における現物給与価額の改正について・雇用保険料率、労災保険率について
HOME
事務所の特徴ABOUT US
業務内容BUSINESS
事務所紹介OFFICE
報酬基準PLAN
DOWNLOAD
CONTACT
pagetop