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紙様式の36協定届の改善を希望します

こんにちは。大野事務所の高田です。

 

日差しが段々と暖かくなり、桜の開花が気になり始めるこの時期は、36協定届の季節です。
毎年、4月~翌年3月の期間で協定している多数の顧問先様より、36協定届の提出をお引き受けしています。

 

以前、e-Gov電子申請の36協定届について、もう少し使い勝手を改善してほしいといった内容の記事を書きました。
「e-Gov協定届の改善を希望します」

また、弊所では、RPAを使って36協定届の電子申請作業の効率化を進めているということもお伝えしました。
「手続き業務のRPA化に取り組んでいます」

 

とは言うものの、紙様式での届け出がまったく無くなったかというと、実はまだまだ多くの場面で利用しているのが実状です。どうしても紙様式で届け出たいという顧問先様も依然としていらっしゃいますし、世の中的にも、特に自社で対応している企業様などでは、紙様式が多く使われているのではないでしょうか。

 

さて、今回は、そちらの紙様式の36協定届に関しての話です。

 

1.とにかく入力しづらい

 

e-Gov電子申請の様式の使い勝手が非常に悪いというのは以前に述べた通りですが、では紙様式の方はどうなのかというと、これもまた五十歩百歩といった使いにくさです。おそらく日本全国で最も多く利用されているであろう厚生労働省の様式を例に取っても、とにかく入力しづらいという感想に尽きます(一昔前と比べればだいぶ改善されましたが)。
■厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/

 

すべてを一々挙げませんが、初っ端の労働保険番号や法人番号からしていきなり入力しづらく、出鼻をくじかれます。作業を進めていくと、最後の方の過半数代表者の職名、氏名を入力するためのスペースがなかったり、各欄の左寄せ、右寄せ等のインデント設定が不自然だったりして、レイアウトを整えなければならない箇所もたくさんあります。何よりも、時間外労働の欄に4つまで記入できるようになっているのであれば、休日労働の欄も最初から4つ用意しておいてほしいです(1枚目は、下の余白も随分余裕があるようですし)。

 

この様式を利用している日本全国の何万人だか何十万人だかのご担当者の方々が、同じところを同じように手間暇かけて手直ししているのではないかと想像すると、非常にもどかしい思いがします。行政の側が最初からきちんとしたものを提供してくれれば、日本全国の何万人だか何十万人だかの方々が無駄な時間を使わなくて済みます。このような使いづらい様式では、36協定届の担当者自身が残業する羽目になってしまいますので、いっそのこと「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」欄に「36協定届の手続きが想定外に時間がかかるため」とでもご記入頂いて届け出て頂ければ、少しは私たちの声が行政に届くのかもしれません。

 

2.エクセル様式のススメ

 

それはさておき、そもそも、何故ワード様式しかなく、エクセル様式は提供されないのかという点も疑問です。もしかすると、事業場がたくさんある企業様の場合は、ワード様式とエクセルの事業場一覧表を組み合わせた差し込み印刷で対応しているためワード様式でよいのかもしれませんが、単体で考えれば、エクセル様式の方がはるかに入力しやすいと感じます(これは筆者個人の感想かもしれませんが)。

 

ということで、エクセル様式のサンプルを公開しますので、こちらの方が使いやすいと思ってくださった方は、是非ご活用頂ければ嬉しく思います。

36協定届様式(エクセル版)

 

実は、弊所で使用しているものは、多数の事業場を擁する顧問先様にも対応できるように、事業場の一覧表シートと数式で紐付けて表示する仕組みを整えていたり、その後の電子申請をRPAで行うための加工を施していたりします。ですが、複雑な数式やマクロを含むデータファイルをインターネット上に掲載するのは何かと問題があろうかと思いますので、上記の機能を省いた様式部分のみの公開とさせて頂きます。なお、この様式を使用したことによって生じた如何なる損害についても当方はその責任を負いかねますので、あくまでも使用者ご自身の責任においてお願いします。

 

もし、36協定届の手続きでお困りの企業様、ご担当者様がいらっしゃいましたら、是非弊所までご相談ください。

 

執筆者:高田

高田 弘人

高田 弘人 特定社会保険労務士

幕張第2事業部 事業部長/パートナー社員

岐阜県出身。一橋大学経済学部卒業。
大野事務所に入所するまでの約10年間、民間企業の人事労務部門に勤務していました。そのときの経験を基に、企業の人事労務担当者の目線で物事を考えることを大切にしています。クライアントが何を望み、何をお求めになっているのかを常に考え、ご満足いただけるサービスをご提供できる社労士でありたいと思っています。

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