TOP大野事務所コラムMBO?KPI?OKR?-「人と人との関係性」から人事労務を考える⑫

MBO?KPI?OKR?-「人と人との関係性」から人事労務を考える⑫

大野事務所の今泉です。

 

従業員エンゲージメントに関連する本日の話題ですが、表題にピンと来られた方もたくさんいらっしゃると思います。「人事評価」に関連する略語(?)ですね。MBOはなじみの深い言葉でしょうし、最近はOKRという手法が注目されています。

 

従業員エンゲージメントを高める上で、公正・公平な人事評価は非常に重要といわれています。公正・公平という概念は社員の納得性という観点から導かれるものですが、「公正・公平って可能なの?」という疑問がすぐに湧き上がるかもしれません。確かに「公正・公平」の定義づけも難しく、最近ではシステム化も著しいとはいえ最終的には人が担う以上、人事評価から主観性を完全に排除することはほぼ不可能でしょう。それでも、どうすれば社員が納得のいく人事評価が可能となるのか、特に査定の時期になると、このような悩みが頭をよぎる担当者も多いのではないでしょうか。

 

表題に掲げた3つの略語にて表される考え方・手法は、人事評価そのものではありませんが、人事評価に結びつけることによって、より納得性の高いものを実現しようとするものといえます。それぞれについて簡単に説明すると次のようになります。

 

◆ MBO:Management By Objectives・・・目標による管理

⇒組織の方向性を踏まえた目標設定を行うことで、組織と個人の目標をリンクさせ、自律的に仕事をさせることを目的とする。

 目標と結果が明確になることで人事評価に活用される。

 

◆ KPI:Key Performance Indicator・・・重要業績評価指標

⇒組織の目標達成状況を定点観測することで、目標達成に向けた組織のパフォーマンスの動向を把握することを目的とする。

 評価者と、被評価者との間で目標に関する合意を結び、それに対する達成度合いで評価をする。

 

◆ OKR:Objective and Key Result・・・目標と主要な結果

⇒それぞれを企業・部門・チーム・個人という階層ごとにObjectives(目標)とKey Results(主要な結果)を設定する。

 その目標をマネジメントすることを通じて、高い目標を達成するための一種の目標管理。

 

ここでは、比較的新しいOKRという概念について、もう少し触れたいと思います。

これは「Objective and Key Result」という正式名称からも分かるように「O(目標)」と「KR(主要な結果)」で分けられるものです。ここでの「O(目標)」は、より大きくチャレンジングなテーマを設定します。具体的には6070%の達成度となるような高いレベルで目標を設定することが望ましいとされています。高い「O(目標)」を掲げることで、社員の自律的な挑戦や成長を促進させることができ、また、社員は企業全体の「O(目標)」を理解した上で、個人の「O(目標)」を設定するので、目指すべき目標が明確になり、さらには企業と社員の目標がリンクすることになります。

 

一方、「KR(主要な結果)」ですが、一つの「O(目標)」に対して35つ程度の定量的な指標を設定します。「O(目標)」を達成するための指標ということになりますが、例えば、新規顧客獲得数○○件とか、残業を平均○○時間削減、といった定量的なものが挙げられます。

これらは前述のとおり各階層(企業レベルから個人レベルまで)に設定されます。

この達成度合いを比較的短いスパンで評価(あくまで目標の達成度合いの評価であり、人事評価ではありません。)、スコアリングなどを行いレビュー、フィードバックする、という一連の流れがOKRの運用ということになります。

 

これにより、企業としての目標(ビジョンといっても良いかもしれません)を浸透させることができること、また「KR(主要な結果)」に直接的に影響のあるタスクが分かりやすくなる結果、優先順位が明確となることがメリットとして挙げられます。

もちろん、社員が同じ目標と結果を共有しているため、企業全体の動きが具体的にイメージできるようになり、組織内のコミュニケーションを活性化させることが期待できるでしょう。また、それぞれの貢献度をスコアリングなどで可視化することにより企業への貢献意欲が上がり、結果として従業員エンゲージメントの向上にも資する、というわけです。

ですので、これらのことからすると、人事評価というよりどちらかというと組織マネジメントの手法といった方が良いでしょう。

 

ただ、「O(目標)」の達成に至る「プロセス」や進捗に貢献したアウトプットを人事評価の対象とすることは可能であり、OKRが持つ透明性を活かしつつ、人事評価制度の運用を行っている企業も存在していることは事実です。

 

さて、これら人事評価にまつわる手法は、どれが優れているか、という問題ではありません。それぞれの会社に違いがあり、企業風土や文化が異なるように会社の数だけ人事評価制度はあっていいはずですし、そうあるべきであると考えます。重要なのは、その会社にマッチした制度とすることでしょう。これらの手法もそのことを実現するための手段でしかありません。この点、会社にマッチした制度とするためには、関係部署(人事部など)だけで人事評価制度を作らない方が良いと考えています。なぜなら実際に評価する者、評価される者が制度構築にかかわらないと概念だけが先に立ってしまい、頭でっかちなものができてしまうからです。

最終的な仕上げは関係部署で行えばよいでしょうが、素案段階だけでもいいので評価者や被評価者も含めた人事制度検討プロジェクトを立ち上げて関わらせる、そうすることにより、納得性の高い人事評価制度が生まれる可能性が広がるように思えます。もちろん、これに関わった者は、従業員エンゲージメントが向上するのではないでしょうか。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

執筆者:今泉

今泉 叔徳

今泉 叔徳 特定社会保険労務士

渋谷第1事業部 事業部長/ 執行役員

群馬県桐生市出身。東京都立大学法学部法律学科卒業。
人事労務関係の課題解決の糸口としてコミュニケーションや対話の充実があるのではないかと考え、これにまつわるテーマでコラムを書いてみようと思い立ちました。日頃の業務とはちょっと異なる分野の内容ですので、ぎこちない表現となってしまっていたりすることはご了承ください。
休日には地元の少年サッカーチームでコーチ(ボランティア)をやっていて、こども達との「コミュニケーション」を通じて、リフレッシュを図っています。

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