TOP大野事務所コラム「人と人との関係性」から人事労務を考える⑥

「人と人との関係性」から人事労務を考える⑥

 

これまで『人と人との関係性』に着目し、とりわけ人事労務管理に必要なコミュニケーションについて思いつくままにお伝えしてまいりました。これまでの内容を読み返してみたのですが、「思いつくまま」というにも程があるだろう、というくらい雑多な印象でしたので、この辺で一度まとめておきたいと思います。

 

1.人事労務管理に必要となるコミュニケーション(1

 

 人事労務管理は人と向き合うことが要求されますが、相手が人であるだけに単なる一方的な通知、連絡のみでは円滑な活動に支障をきたします。人事労務管理で必要なのは双方向のコミュニケーションであり、『情報、伝達、共有』というコミュニケーションの構成要素において、それぞれが健全なつながりを持つことが重要となります。

一方で、これに不全をきたすと、人事労務トラブルにもつながっていくのではないか、と問題提起させていただきました。

 

2.人事労務トラブルにつながるコミュニケーション不全(25

 

コミュニケーション不全に至る原因として、これまで「思い込み」、「不意打ち」を取り上げました。

 

まず「思い込み」ですが、自分の考えに固執してしまうため矯正のしようがないことから、トラブルに発展しかねないものとなります。なぜ思い込んだ考えを正しいと信じ切ってしまうのかというと、自ら検証する際に都合の良い事実だけで判断してしまうため、つまり先入観からでした。

 

また「思い込み」は「行き違い」を引き起こします。伝える側の情報が不足している、あるいは明確でないために受け手側が自分の解釈で情報を補う必要があり、その「受け手の解釈の部分」と「伝える側が本来伝えたかった部分」とが異なってしまうことが「行き違い」であるとしました。「行き違い」による伝える側、受け手側双方の認識のギャップがトラブルを招くことも大いにあるでしょう。

「行き違い」については、「物事のとらえ方は人によって違うのが当然だ」、「ギャップはあるものだ」という前提に立ち、その上で、誤解を与えないようにするため具体的に情報を伝える。さらにいえば、相手が理解しているか確認する作業ができると良いと考えます。

 

 

 

一方、「不意打ち」はタイミングの問題です。

ここでは、いきなり想定していないような(あまり良い意味ではない)変化を受け入れなければならない事態を、一方向の連絡・通達により告げられた場合を指すこととしました。これにより不快感が生じたり、ストレスとなり得る結果、「不意打ち」を受けた当人には不満が残り、人事労務トラブルの大きな温床・下地となると考えられるわけです。

 

これが起こる原因として、

① 決定自体が急であり、事前準備なく伝えなければならなかった場合

② 決定自体はだいぶ前に行われていたが、何らかの事情により伝えることが遅れていた場合

③ いきなり伝えたとしても特に問題となると思っていなかった場合

というようなものがあり、人事労務トラブルに絡む「不意打ち」は③が多いのではないか、という印象ですが、これも一種の「思い込み」ですね。

 

3.より良い関係性を築くには(34

 

まず聞くこと。

それも「積極的に聞く」「能動的に聞く」ということが重要で、そういう意味において、聞いたものを「言い換える」ことで確認するという「パラフレーズ」の手法を紹介しました。

 

言い換える、ということは聞いた内容をきちんと理解していないとできないことです。そして、言い換えて確認することにより、情報発信者の方も伝えたい内容を再確認することができます。その結果として、情報内容の行き違いをなくすこともできるでしょう。

また、「言い換え」は聴き手が自分を理解してくれている、共感してくれていると認識できる、という効果をもたらすといわれており、組織における人と人との関係性を円滑にでき、働きやすい職場環境づくりに役立つかもしれません。

 

そして、対話すること。

「対話」とは、人によって異なる意味付けを共有することを目的とするものでした。この意味付けが共有される、という点が重要であり、そのことによって人と人との良質な関係性が築かれるのではないか、と思います。前述の「思い込み」、「行き違い」というズレをあえて明確にし、修正する営みの一つが「対話」ということもいえるでしょう。

 

組織が望ましい状態になるにはどのような取り組みを行うべきなのか、どのような心掛けが必要なのか、そして、どのような未来を創り出せるのか、これらを(他人事ではなく)自分事として捉え、協働できることを目指すためには、対話というプロセスが非常に重要となるといえるでしょう。

 

以上がこれまでのまとめでした。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

 

執筆者:今泉

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