Chat GPT等の生成AIを活用していますか?
こんにちは、大野事務所の土岐です。
経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」は、生成AIを適切かつ積極的に利用する人材・スキルの在り方について集中的に議論し、現時点で採るべき対応を取りまとめた「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」と題する報告書を本年8月7日に発表しました。
【資料出所:経済産業省ホームページ】
報告書の冒頭では、「生成 AI の技術は、今後、ほぼ全ての仕事に対して影響をもたらすことが示唆されている」ことが述べられています。また、報告書の中で紹介されているBCG(ボストンコンサルティンググループ)の資料では、生成AIの技術に関する基本情報や、生成AI時代に求められる人材のスキル・育成に関して以下のように図を用いて解説されていますので、ご興味のある方は是非ご一読いただければと思います。
【資料出所:経済産業省 BCG デジタル/生成AI時代に求められる人材育成のあり方
(第9回デジタル時代の人材政策に関する検討会資料)】
さて、前置きが長くなりましたが、筆者は素人ながら生成AIを活用するべく、少しずつではありますが触れる機会を増やしている状況です。最近は生成AIの活用方法に関するweb上の記事や書籍等を目にする機会が増えてきたように思いますが、たくさんの記事や書籍がありますので、何を参考にすればよいのか迷ってしまいますね。いくつかの資料の中から、東京商工会議所が本年7月に公開した「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド(以下、ガイド)」がわかりやすい資料だと思いましたので、今回はこちらの資料を採り上げつつ、筆者のChat GPT(無料版、以下同じ)を使ってみての感想などを述べたいと思います。
1.生成AIとは
生成AIについて念のため確認します。ガイドでは、「生成AI(英:Generative AI)とは、ユーザーから入力された情報に応じて、テキスト・画像・音楽・映像などのコンテンツを生成することができる人工知能(AI)です。」とあり、その仕組みについては、「生成AIは、インターネット上などの大量のデータを学習し、その中に存在する潜在的なパターンや規則性を抽出し、入力された情報に対して最も確からしいコンテンツを生成します。例えば、大量のテキストデータから文法や単語の使い方を学び、その知識を元に新たな文章を作成する」との説明があります。
【資料出所:東京商工会議所「中小企業のための「生成AI」活用入門ガイド」(以下図表も同じ)】
ガイドでは生成AIに関する基本的な情報から、場面に応じた活用方法が簡潔に解説されていますので、まずはこちらを眺めてみるのが良いかもしれません。また、入力内容例(プロンプト)も紹介されていますので、例の通りに使ってみて、どのような回答が返ってくるのか試してみると、イメージが掴めると思います。
2.過去のコラムを校正してみました
筆者はコラムのアイデア出しや校正などの場面でChat GPTを活用できればと思っていたところ、コンテンツの作成・校正はChat GPTの得意分野だそうです。ということで筆者の過去のコラムを校正してみたところ、詳細は割愛しますが、細部の表現がより適切になったように思われ、その精度は高いのではないかと思いました。また、筆者自身の頭の中の引き出しにはない表現を示してくれるので、これは活用できそうです。ただ、執筆者が直接生み出す文章にはその人の個性が表れますので、この部分は大事にしつつ、うまくバランスを取るのが良いと思います。
また、試しにChat GPTで本コラムの一部分を作成してみたところ、筆者のChat GPTへの指示や提供情報が曖昧だったのかもしれませんが、「誰でも容易に、簡単に」文章作成ができるかというと、そこまでのレベル感ではないように感じました(作成する文章にもよると思いますが)。というわけで、本コラムは従来通り筆者自ら作成した文章になります。今のところの筆者の使い方としては、作成した文章の校正ツールという役割までという感想です。
3.生成AIの使用にあたって注意すべきこと
ところで、生成AIには、架空・虚偽の情報をあたかも実在のものとして回答する「ハルシネーション(幻覚)」という弱点があるとのことです。出力された情報のファクトチェックを行う必要があること、個人情報を入力しないこと、生成物が権利侵害になる可能性があることなど、インターネットやSNS使用時に注意すべき事項があることと同じように、生成AI使用時の注意点についてもあらかじめ確認しておくことが重要です。
(これらの注意事項については、ガイドにて要点がまとめられています。また、社内利用ガイドラインの策定例も紹介していますので、詳細はガイドのスライド37~39をご参照ください。)
4.おわりに
以上、Chat GPTを使用したはじめの一歩の内容となりましたが、引き続き使用方法等を学んでいきたいと思います。冒頭の報告書の中で述べられている、「生成AI 時代のDX 推進に必要な人材・スキルの考え⽅」に関する3点(①マインド・スタンスやリテラシー、②指示(プロンプト)の習熟・言語化の能力・対話力等、③経験を通じて培われる、「問いを立てる力」「仮説を立てる力・検証する力」等)も意識しながら様々な場面で効率化を図るべく、活用できるものはうまく取り入れていきたいものです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
<参考URL>
■経済産業省 「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」 を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230807001/20230807001.html
■BCG「デジタル/生成 AI 時代に求められる人材育成のあり方」 (第9回デジタル時代の人材政策に関する検討会「資料3」)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/009_03_00.pdf
■東京商工会議所 中小企業のための「生成AI」活用入門ガイド
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1200434
執筆者:土岐
土岐 紀文 特定社会保険労務士
幕張第2事業部 グループリーダー
23歳のときに地元千葉の社労士事務所にて社労士業務の基礎を学び、その後大野事務所に入所しまして10数年になります。
現在はアドバイザリー業務を軸に、手続きおよび給与計算業務にも従事しています。お客様のご相談には法令等の解釈を踏まえたうえで、お客様それぞれに合った適切な運用ができるようなアドバイスを常に心がけております。
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