TOP大野事務所コラムシリーズ 経営労務とコンプライアンス(第10回)

シリーズ 経営労務とコンプライアンス(第10回)

 

本コラムは、当事務所の代表社員である大野が、2012年に労働新聞に連載寄稿した記事をベースに同社の了解を得て転載するものです。なお、今回の転載にあたり、必要に応じ適宜原文の加筆・修正を行っております。

 

〇繰り返される不祥事

企業不祥事がくりかえされている。ネットではいくつかの専用ホームページもあって、ニュースには取上げられていないが日常的に発生している多数のケースが載っている。信憑性はさておき、ネットでは瞬時に悪評となって広がり、費用のみならず社会的信用の失墜をもたらし致命傷となりかねない。

さて、では企業不祥事とはどんなものか、(社)日本監査役協会の「企業不祥事の防止と監査役(平成21.10.2)」に掲載されている不祥事22事例を参考に主要事項を列挙してみる。22のケーススタディーのうち、10ケース以上に共通して該当する項目には次のようなものがある。なお、事例は以下の5つの要素に区分されている。

 

①統制環境16項目中、「モラルの欠如(11)、売上・利益至上主義(14)、業績・財務内容低迷(11)、常務会・取締役会等の形骸化(10)、不正慣行の放置・恒常化(11)」の5項目が該当している。

②リスクの評価9項目中、「法令遵守感覚の麻痺(20)」が圧倒的である。

③統制活動13項目中、「総合的リスク管理の不全(13)」が最多であるが、歪められた会計処理(8)、不徹底な操業管理(7)なども高い。

④情報と伝達7項目中、「情報伝達ルートの遮断(11)」が高く、情報確認後の不作為(8)も目立つ。

⑤監視活動2項目中、「内部監査機能の不徹底・無機能化(16)」が極めて高い。

 

これらの項目のうち、平成15年実施の同種調査18事例でも、10ケースを越えて重複する共通項目に「不正慣行の放置・恒常化、法令遵守感覚の麻痺、総合的リスク管理の不全、内部監査機能の不徹底・無機能化」がある。

また、平成17年経済産業省の「企業行動の開示・評価に関する研究会」中間報告で紹介されている企業不祥事分析での問題点(不祥事の主な原因)では、経営者のコンプライアンスを含むリスクの重要性認識の欠如と社風形成が指摘されている。

そこでの社風問題とは「意思疎通、隠蔽体質、利益偏重、企業倫理、衛生管理、安全徹底」などのほかに圧倒的な「法令遵守」姿勢の欠如なのである。これらを見ると、企業不祥事には不幸な事故のケースもあるが、最大のものは会社の姿勢、従って経営責任者の不作為を含む意識的行為が原因になっていることが多いといえる。つまりは組織の腐敗なのである。会社はここでも生き物である。特に意思を持った生き物、社会的存在であることの再確認が最大のリスク防御であると言える。

 

以上

 

※次回(第11回)掲載日は、817日を予定しております。

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