TOP大野事務所コラム本社一括届出の電子申請がさらに便利に

本社一括届出の電子申請がさらに便利に

こんにちは。大野事務所の高田です。

 

就業規則と36協定の本社一括届出手続きをご存知でしょうか?

 

本社一括届出とは、複数の事業場(支店等)を有する会社において、事業場ごとに届出が義務付けられている就業規則届や36協定届の手続きを、本社管轄の労働基準監督署に対して一括で行うことができる制度のことです。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/130419-1.html

「そのような便利な制度があるなら、すべての会社が利用すればよいではないか」と思われるかもしれませんが、本社一括届出には、利用するための条件がそれぞれあります。

 

  • 【就業規則】
    ● 本社と各事業場の内容が同一であること

 

【36協定】
● 協定事項のうち、「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」「労働者数」以外の事項が同一であること

 

就業規則の方は、支店ごとに就業規則が異なるといった会社以外は利用できるのですが、問題は36協定の方です。上記4つの事項以外が同一であるということは、各事業場の過半数代表者も同一でなければならないという意味であり、これは即ち、労働者の過半数で構成される労働組合が存在し、当該労働組合の代表者が各事業場の過半数代表者として適格である(各事業場単位においても組合員が過半数である)場合にしか利用できないことを意味します。この条件を満たしている会社様はそれほど多くありませんので、私自身も殆ど利用機会がありませんでした。

 

それが、このたびの取り扱い改正により、「令和3年3月末から、事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、電子申請に限り36協定の本社一括届出が可能」となりました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000724367.pdf
電子申請を利用することが条件ではあるものの、これにより、すべての会社の本社一括届出が容易になったということであり、今後は、積極的にこれを利用しない手はありません。

 

図1

 

ここで少々話が脱線しますが、私がこの仕事に長年携わってきた中で、その手続きの目的と趣旨に照らしても、あまりに手続き方法が非効率で手間がかかりすぎだと感じている(た)手続きのワースト3を挙げたいと思います。

 

第3位 (支店が多数ある会社の)就業規則届

 

顧問先様から、年1回の36協定届と合わせて届け出てほしい、就業規則の表紙に労働基準監督署の受付印がほしいといったご要望を頂くことが多々あり、これまでは事業場単位の紙での届出が多かったのが実状です。特に支店が多数ある会社様の場合、届出先数分の就業規則を印刷するために大量の紙を使用し、またそれを送るために多額の郵送代がかかるなど、とにかく大変でした。

本社一括届出の電子申請を利用すれば、就業規則を印刷する必要もありませんし、さらに今回の取り扱い改正により、意見書には過半数代表者の記名のみでよいことになりましたので、利便性が一層高まったといえます。

 

第2位 (支店が多数ある会社の)労働保険 継続被一括事業 名称変更届

 

被一括事業の名称や所在地を変更した場合には、指定事業(本社)を管轄する労働基準監督署へ届け出ることになっています。支店1ヶ所の変更であれば大した手続きではありませんが、会社名の変更の場合は、すべての被一括事業の名称変更手続きが必要になります。提出は本社管轄の労働基準監督署にまとめて行いますので、被一括事業の一覧表を添付するなどの方法で手続きの省力化を図って頂きたいのですが、今のところ、被一括事業ごとに1様式を作成しないことには受け付けて頂けないようです。

この点電子申請についても同様であり、「被一括」事業の手続きでありながら、手続きは一括して行えないという有様ですので、今後改善を図って頂きたい手続きの筆頭に挙げられます。

 

第1位 (支店が多数ある会社の)36協定届

 

36協定において、本社一括届出が利用できなかった理由については既に述べました。36協定の法的な意味合い、およびその重要性を認識している我々でさえも、これを数十ヶ所、会社様によっては数百ヶ所も取りまとめて届け出る業務は、もはや単なる作業と化し、苦痛にまで感じるほどです。

今回の電子申請の取り扱い改正によって、本社一括届出が格段に利用しやすくなったことは、まさに革命的な出来事だといっても過言ではありません。

 

以上、あくまでも筆者個人の独断と偏見に基づいてランキングを付けてみましたが、今後、就業規則届と36協定届については、大幅に作業時間およびコストの削減が図られるのではないかと期待しています。

ただ、この協定届や本社一括届出の電子申請の関連では、他にも改善をお願いしたい事項が幾つかありますので、主なものを3つだけ挙げておきたいと思います。

 

① 36協定届以外の協定届(裁量労働制や事業場外労働など)についても、本社一括届出を可能にしてほしい
② 36協定届以外の協定届についても、監督署受付の公文書が出るようにしてほしい
③ 監督署受付の公文書について、レイアウトをもう少し整えてほしい

 

電子申請の分野は日進月歩ですので、今後に期待したいと思います。

 

執筆者:高田

高田 弘人

高田 弘人 特定社会保険労務士

幕張第2事業部 事業部長/執行役員

一橋大学経済学部卒業。
ベンチャー企業及び大手監査法人の人事部門勤務を経て、2008年に大野事務所に入所。
人事労務に関する相談、IPO支援コンサルティング、アウトソーシング業務全般に従事。

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