TOP大野事務所コラム副業・兼業の届出はどこまで必要か

副業・兼業の届出はどこまで必要か

パートナー社員の野田です。今回は副業・兼業について考えたいと思います。

 

従来、副業・兼業は会社が許可しなければ行ってはならないものとされていましたが、裁判例で労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由であるとされたことから、近年、副業・兼業は労働者の自由であり一定の事由に該当する場合に限り、企業が禁止したり制限をかけたりするものとなっています。厚労省のモデル就業規則でも、以前は服務規律にて「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」とありましたが、以下のように修正されています。

 

(副業・兼業)

第〇条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。        

    2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

        3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これ を禁止又は制限することができる。

            ① 労務提供上の支障がある場合

            ② 企業秘密が漏洩する場合

            ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

            ④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

上記のように変更した場合、労働者は事前に届出をすることとなりますが、何をもって業とするか悩ましいところであり、どこまでの業について届出をすればよいのでしょうか。収入や報酬を得るだけであればその形態は実に様々ですし、昨今はネットを収入源とした活動が多岐に渡るため、まずは届出を要する範囲を明確にする必要があります。例示ではありますが、以下のように分類できるのではないでしょうか。

 

【届出を必要とするもの】

 ・他法人の役員に就任する(名義貸しなど親族が経営する法人役員を含む)

 ・他法人と雇用契約を締結する(他法人の労働者になる)

 ・外部で実施されるセミナー・勉強会の講師や出版物等の執筆を引き受ける

 ・個人事業主として業務を引き受ける(家庭教師、HP制作、デザイン制作など)

 

【届出を必要としないもの】

 ・株・投資信託等による資産運用

 ・不動産収入

 ・ネットオークションやフリマアプリへの出品、フリーマーケット等への参加・出店

 ・ボランティア活動(日当・交通費が支給される場合を含む)

 

上記以外の活動として、YouTubeなどで動画配信することにより報酬を得る方(いわゆるユーチューバー)がいらっしゃいますが、この場合はどちらに位置づけるのが適当でしょうか。個人的には悩むところですが、それぞれの活動がどちらに位置づけられるものか列挙しておくのが良さそうです。

次に届出をさせたものの中から、禁止したり制限したりするものが出てきますが、その基準についても確認しておく必要があります。競業避止や情報漏洩に該当することから同業他社での勤務を禁止したり、会社の名誉信用を失墜する恐れがあることからホステス・ホストクラブ等での勤務を禁止したりするケース、また勤務は認めるものの長時間労働・過重労働防止の観点から勤務時間数の上限を設けたりするケースが想定されます。

 

なお競業避止や情報漏洩という点では、業か否か(報酬の有無)にかかわらず、これに抵触しそうな社外活動については同様に届出をさせる必要があると考えますが、こちらについても私的活動(プライベート)との境界線が明確でなく、どこまでの活動を届出させれば良いか悩ましいところです。

 

【禁止するもの】

 ・ホステス・ホストクラブ等での勤務

 ・同業他社での勤務や業務の受託

 ・報酬の有無にかかわらず、会社の機密・重要情報等に関する配信活動

 ・上記に準ずるもの

 

いずれにしましても副業・兼業の規定整備や運用にあたっては、会社としての方針や考えを明確にしたうえで取り組む必要があると考えます。

 

執筆者:野田

 

過去のニュース

ニュースリリース

2021.02.24 大野事務所コラム
「人と人との関係性」から人事労務を考える⑧
2021.02.17 大野事務所コラム
本社一括届出の電子申請がさらに便利に
2021.02.15 これまでの情報配信メール
労働基準法をはじめとする労働社会保険諸法令に関する各種届出の押印原則の見直しについて
2021.02.10 大野事務所コラム
通常の労働者への転換措置を定めていますか?
2021.02.03 大野事務所コラム
健康情報取扱規程の作成は義務⁉
2021.01.27 大野事務所コラム
再休職後の休職期間の上限をどのように考えるか?①
2021.01.26 ニュース
モデル規程(育児・介護休業等に関する規程)を改定しました
2021.01.26 これまでの情報配信メール
傷病手当金の支給期間・育児休業中の社会保険料免除の見直し案
2021.01.20 大野事務所コラム
「人と人との関係性」から人事労務を考える⑦
2021.01.18 これまでの情報配信メール
副業・兼業に関するガイドラインのパンフレットが公開されています
2021.01.13 大野事務所コラム
在宅勤務手当の考え方
2021.01.06 ニュース
書籍を刊行しました
2020.12.21 ニュース
年末年始休業のお知らせ
2020.12.23 大野事務所コラム
「労働者協同組合」という働き方
2020.12.16 大野事務所コラム
確定拠出年金制度のいま!
2020.12.15 ニュース
監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成31年度・令和元年度)について
2020.12.09 大野事務所コラム
子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得に関し、1日の取得上限回数を定めることは問題ないか?
2020.12.02 大野事務所コラム
「人と人との関係性」から人事労務を考える⑥
2020.12.02 ニュース
リクルート情報
2020.11.25 大野事務所コラム
厚生年金保険の資格喪失手続きの遅滞にご注意を
2020.11.18 大野事務所コラム
健康診断の実施
2020.11.17 これまでの情報配信メール
育介法改正、高年齢者雇用安定法改正
2020.11.11 大野事務所コラム
副業・兼業の届出はどこまで必要か
2020.11.04 大野事務所コラム
支給額、控除額および差引支給額が0円の給与支給明細書の作成・交付は必要か?
2020.10.28 大野事務所コラム
「人と人との関係性」から人事労務を考える⑤
2020.10.21 大野事務所コラム
「社会保険料を削減する」方法・手口について
2020.10.20 ニュース
秋季大野事務所定例セミナーを開催しました
2020.10.14 大野事務所コラム
高年齢者雇用安定法の改正
2020.10.19 ニュース
『労政時報』に寄稿しました【試用期間中に業務上災害で休業した場合、休業補償のための平均賃金の算定はどう行えばよいか】
2020.10.07 大野事務所コラム
勤怠管理コンサルタントという専門職
2020.09.30 大野事務所コラム
フレックスタイム制において月途中の入社等があった際の総労働時間と法定労働時間の考え方は?
2020.09.23 大野事務所コラム
「人と人との関係性」から人事労務を考える④
2020.09.16 大野事務所コラム
副業・兼業者の労働時間通算は可能か?
2020.09.09 大野事務所コラム
専属産業医の「専属」とは
2020.09.02 大野事務所コラム
フリーランス(個人事業主)の労働者性
2020.08.26 大野事務所コラム
休業発生時のフレックスタイム制における総労働時間・時間外労働手当の考え方は?
2020.08.19 大野事務所コラム
「人と人との関係性」から人事労務を考える③
2020.08.12 大野事務所コラム
「事業場外労働の労働時間みなし」を行うには就業規則の定めが必要か?
2020.08.04 これまでの情報配信メール
大野事務所情報メール 2020.7.29【厚生年金保険の標準報酬月額の上限が改定される予定です】
2020.08.05 大野事務所コラム
時間外労働の上限規制
HOME
事務所の特徴ABOUT US
業務内容BUSINESS
事務所紹介OFFICE
報酬基準PLAN
DOWNLOAD
CONTACT
pagetop