TOP大野事務所コラムコロナ禍で考える「日本のべーシックインカム」

コロナ禍で考える「日本のべーシックインカム」

こんにちは、大野事務所パートナー社員の野田と申します。

この度、ホームページのリニューアルに伴いコラムを掲載することになりました。第1回目として、私が執筆を担当しますので宜しくお願いいたします。

 

本コラムは執筆者が複数名(現状5名)おり、週替わりで担当させて頂きますが、労働・社会保険諸法令、人事労務管理、社会保障制度等について、我々社労士が日々実務に携わるなかで疑問に感じる点、腑に落ちない点などを皆様と共有できればという想いで掲載するものであります。時には執筆者個人の見解として、極端な記事・内容になることがあるかもしれませんが、その場合でも暖かく見守って頂けると幸いです。

 

早速ですが、今回は「ベーシックインカム」について触れたいと思います。

 

【ベーシックインカム】・・・ウィキペディアより

最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという政策。基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBI、UBIともいう。

 

新型コロナ禍の収束が見えない現状(4/27)におきまして、新聞等でも取り上げられることが多くなったベーシックインカムですが、私もこれまでに弊所顧問の山崎とこれについて協議したことがあります。ただしその時には、あまり現実味のある身近なものではなく、欧州で取り入れられている社会保障制度の一つであるという程度の認識でした。

 

今回のコロナ禍への対応として、雇用調整助成金や無利子・無担保の融資制度など、様々なセーフティネット保証制度が導入されており、本日時点では、国民一人あたり一律10万円を支給するといったことも決定しております。

以前より、ザッカーバーグ氏など多くの著名人がベーシックインカムのメリットを訴えておりますが、最近では、本田圭佑氏(サッカー選手)が、今回の10万円一律支給がベーシックインカムの実験になるなどの持論を展開されていますし、スペインでは、今回のコロナ禍により「ユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障制度)」を導入することを決定したという報道もされております。

 

日本では、引退した方に対する老齢年金制度、何らかの事情で働くことができない方に対する生活保護制度、失業した方には失業給付制度といった社会保障制度によって、収入が無いまたは少ない人たちを支える仕組みがありますが、これらの給付には収入や仕事の有無に関する審査などがあり、最終的に必要な額を受給できなかったり支給されなかったりすることから、憲法で保障されている「最低限度の生活」を送れない人たちもいるようです。

 

ベーシックインカムが議論されるようになった背景として、貧困や経済格差が拡大しつつあることがあげられていますが、今回のコロナ禍では、移動制限、インバウンドの減少、また非常事態制限による休業・廃業により、大幅な収入減少となった方々への救済措置がスムーズに行われないことが露呈されました。実際、医療崩壊ならぬハローワークなどの行政崩壊が発生しつつあります。

 

現在政府が進めているデジタルガバメント構想やマイナンバー制度の利用が進んでいれば、少しは様子が違っていたのかもしれないと思いつつも、前述のとおり、審査等により十分な保証が受けられない方が生じる現行の社会保障制度であれば、他国のようにベーシックインカムの導入を検討しても良いのではないかと思いますが、皆様はどうお考えでしょうか。

 

執筆者:野田

野田 好伸

野田 好伸 特定社会保険労務士

代表社員

コンサルタントになりたいという漠然とした想いがありましたが、大学で法律を専攻していたこともあり、士業に興味を持ち始めました。学生時代のバイト先からご紹介頂いた縁で社労士事務所に就職し、今に至っています。
現在はアドバイザーとして活動しておりますが、法律や制度解説に留まるのではなく、自身の見解をしっかりと伝えられる相談役であることを心掛け、日々の業務に励んでおります。

その他のコラム

過去のニュース

ニュースリリース

2024.04.17 大野事務所コラム
「場」がもたらすもの
2024.04.16 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【年5日の年次有給休暇の取得が義務付けられています】【2024年4月から建設業に適用される「時間外労働の上限規制」とは】
2024.04.10 大野事務所コラム
取締役の労働者性
2024.04.08 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【算定基礎届(定時決定)とその留意点(前編)】
2024.04.03 大野事務所コラム
兼務出向時の労働時間の集計、36協定の適用と特別条項の発動はどう考える?
2024.03.27 大野事務所コラム
小さなことからコツコツと―「人と人との関係性」から人事労務を考える㉜
2024.03.21 ニュース
春季大野事務所定例セミナーを開催しました
2024.03.20 大野事務所コラム
退職者にも年休を5日取得させる義務があるのか?
2024.03.15 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【2024年4月以降、採用募集時や労働契約締結・更新時に明示すべき労働条件が追加されます!】
2024.03.21 これまでの情報配信メール
協会けんぽの健康保険料率および介護保険料率、雇用保険料率、労災保険率、マイナンバーカードと保険証の一体化について
2024.03.26 これまでの情報配信メール
「ビジネスと人権」早わかりガイド、カスタマーハラスメント防止対策企業事例について
2024.03.13 大野事務所コラム
雇用保険法の改正動向
2024.03.07 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【専門業務型裁量労働制導入の留意点(2024年4月法改正)】
2024.03.06 大野事務所コラム
有期雇用者に対する更新上限の設定と60歳定年を考える
2024.02.28 これまでの情報配信メール
建設業、トラック等運転者、医師の時間外労働の上限規制適用・令和6年度の年金額改定について
2024.02.28 大野事務所コラム
バトンタッチ
2024.02.21 大野事務所コラム
被扶養者の認定は審査請求の対象!?
2024.02.16 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【派遣労働者の受入れ期間の制限〈後編〉】
2024.02.14 大野事務所コラム
フレックスタイム制の適用時に一部休業が生じた場合の休業手当の考え方は?
2024.02.16 これまでの情報配信メール
令和6年能登半島地震に伴う労働基準法や労働契約法等に関するQ&A 等
2024.02.09 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【固定残業代の計算方法と運用上の留意点】
2024.02.07 大野事務所コラム
ラーメンを食べるには注文しなければならない―「人と人との関係性」から人事労務を考える㉛
2024.01.31 大野事務所コラム
歩合給の割増賃金を固定残業代方式にすることは可能か?
2024.01.24 大野事務所コラム
育児・介護休業法の改正動向
2024.01.19 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【派遣労働者の受入れ期間の制限〈前編〉】
2024.01.17 大野事務所コラム
労働保険の対象となる賃金を考える
2024.01.10 大野事務所コラム
なぜ学ぶのか?
2023.12.21 ニュース
年末年始休業のお知らせ
2023.12.20 大野事務所コラム
審査請求制度の概説③
2023.12.15 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【テレワークと事業場外みなし労働時間制】
2024.01.17 これまでの情報配信メール
令和6年4月からの労働条件明示事項の改正  改正に応じた募集時等に明示すべき事項の追加について
2023.12.13 これまでの情報配信メール
裁量労働制の省令・告示の改正、人手不足に対する企業の動向調査について
2023.12.13 大野事務所コラム
在宅勤務中にPCが故障した場合等の勤怠をどう考える?在宅勤務ならば復職可とする診断書が提出された場合の対応は?
2023.12.12 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【研修、自己学習の時間、接待の飲食、ゴルフ、忘年会や歓送迎会は労働時間となるのか?】
2023.12.06 大野事務所コラム
そもそも行動とは??―「人と人との関係性」から人事労務を考える㉚
2023.11.29 大野事務所コラム
事業場外労働の協定は締結しない方がよい?
2023.11.28 これまでの情報配信メール
多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて、副業者の就業実態に関する調査について
2023.11.22 大野事務所コラム
公的年金制度の改正と確定拠出年金
2023.11.17 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【試用期間中の解雇・本採用拒否は容易にできるのか】
2023.11.15 大野事務所コラム
出来高払制(歩合給制、請負給制)給与における割増賃金を考える
HOME
事務所の特徴ABOUT US
業務内容BUSINESS
事務所紹介OFFICE
報酬基準PLAN
DOWNLOAD
CONTACT
pagetop